橙のシロ  〜エロゲーレビュー・ブログ〜

アクセスカウンタ

help リーダーに追加 RSS こなたよりかなたまで レビュー

<<   作成日時 : 2007/03/19 20:36   >>

トラックバック 0 / コメント 0

在りたいように在る


メーカーはF&C・FC01



○あらすじ

あまり大きくない地方都市。そこにある一軒家に1人で住んでいる遥彼方。
両親は他界し天涯孤独の身だったが、
そのことにめげる事無く丘の上の小さな学園に通いながら友達に囲まれ楽しく過ごしていた。
ある時、彼の上に思ってもみない事実が圧し掛かる。
驚愕し混乱するものの、何とか心の平静を取り戻した彼は1つの決断を下す。
可能な限りこの現実を守ろう、と。

― 公式ホームページより ―



○システム

動作がもっさりしています。反応が鈍い感じですね。
それにスキップがとろいです。既読判定あるのはいいのですが、もうちょっと速くして欲しかったですね。
バックログはホイール対応ですが、音声の再生はできません。なのでクリックの連打には注意です。僕はこれでかなり失敗しました。
セーブ数は20個と少ないです。その上、見づらいです。サムネイル表示して欲しかったな。

一番の不満はオートモードがないことです。
じっくりテキストを眺めていたかったのに、無駄にクリックしなければならないのが苛立ちました。個人的なことを言わせてもらえれば、僕はお菓子を晩ご飯代わりに食べながらプレイすることが多いのですが、オートモードがないのでセンテンスごとにクリックしなければなりません(ページ一括表示があるんですが、余韻や空気を壊しそうなので僕は嫌いです)。なのでその度に手を拭いてマウスを握らなくてはなりません。
これがもう億劫。超億劫〜。
やっぱりノベル・タイプのゲームはオートモードがないと辛いです。



○音関係

音楽
いつも通りのI've Soundです。いい感じです。ですが、感動するような曲はなかったです。
良作揃いって感じでしょうか。作品の雰囲気は、よく作れていたとは思います。
ただ曲数が少ないです。全15曲です。うち2曲がボーカル曲つまりOPとED曲です。
なので途中で音楽に飽きてしまいます。またかよ、みたいな感じで。
もったいないですね。あと2、3曲でもあれば、印象は違ったと思います。


主人公以外フルボイスです。
クリスには少々「う〜ん」と首をひねるところがありましたが、全体としてはよかったと思います。特に風音さん。この作品がきっかけで、僕は風音さんを追いかけるようになったのですが、やはり上手いです。声質もグッドです。がっつりぴったんこ! って感じですね。
そういえば一色さんも出てますね。クール系(?)をやらせると、さすが、はまりますね。
ですがもう一色さんはお腹いっぱいです。



○絵

CG枚数35枚(表情変化・立ち絵含まず)
す、少ねえッ!
なぜにここで一枚絵がないんだ? という疑問が連発でした。

低価格だから仕方がない、のかもしれませんが、
やっぱり少ないです。物足りないです。

絵自体については、個人的な感想ですが、あまり好みではありませんでした。
漫画みたいな絵柄で、それなりに綺麗に描いているんですが、
ピンとくる構図がなかったですね。





○キャラクター

遥 彼方
主人公です。言葉につまる名前をしていますが、気にしてはいけません。
本作は完全に彼の物語です。そこら辺の空気化している主人公たちが見たら発狂してしまいそうなほど、彼を軸に、彼を中心に物語が展開していきます。
言ってしまえば、彼がこの物語を生み出したのですから当たり前なのですが、まるで筋を通すかのように最後までメインを張った姿はなかなかよいです。というか、彼はヒロインたちのキャラを食っています。欲張りさんですね。

そしてヘタレません。精神的に強いです。しかも、けっこう意地っ張りです。
若さ全開な彼ですが、なかなか好感が持てるヤツです。


クリステル=V=マリー cv春瀬みき
ひょんなことから、彼方と同居することになった外国の方です。
尊大で気まぐれな性格に見えますが、実はこれには深い理由があります。
まあ、実際はとても優しい、母性満開な性格なんですけどね。

そして彼女には、大きな秘密があります。
個人的には、その設定はあまり好きではありません。安易ですから。
なので彼女のシナリオはあまり感心できませんでした。
これについては一番下のネタバレのところで書きます。


佐倉佳苗 cv風音
彼方に好意を寄せる昔からの友人です。
温和で気弱な性格をしていますが、言うところは言います。芯の強い子です。
実際のところ、メインヒロインだと思います。
他のキャラを攻略するためには、彼女を必ず無下にする必要があります。
けっこう辛かったっす。一番好きなキャラなんで。

シナリオ自体については、ふつーによかったと思います。
クリス・シナリオを終えて「もうギブ・アップしようかな……」と思っていた僕のポテンシャルを
見事に「ちくしょう、まだまだやってやるぜ!」と高めてくれました。
彼女の一途さ、強さが表されていて、素直すぎるお話なんですが、ちょびっと感動しました。
したんですが、あの終わり方は非常に残念です。
あっさり終わりすぎです。余韻もへったくれもありません。
佐倉は彼方を受け止めたのですから、その道の最後を描いて欲しかったです。
一瞬でもいいんですよ。エンドロールの後に、その後の一枚絵を一瞬見せるぐらいでいいんです。それぐらいでもいいから、二人の終わりを見せて欲しかったです。
というか、彼方を受け止め、二人で歩いていくことを決めたということは、そういうことなんじゃないんですか? ここをばっさり切り捨てられるとカタルシスが得られません。残念です。


朝倉優 cv香月
とある病に伏せている12歳の少女です。
こら、そこなあなた。何を期待しているのですか。性描写はありませんよ。
あったりまえじゃないですか。12歳ですよ。明言しちゃってるんですよ。
いいですか、犯罪ですからね。ロリコンは犯罪なんですからね。

という彼女のシナリオなんですが、これは朝倉優・鹿島いずみシナリオとされていますね。
とはいっても、メインとなるのは空白の期間であった主人公の過去です。
実質「回想・彼方の源氏物語」です。相手がロリなら育てればいいんです。まあ無理ですけど。

はい、ホントにこのルートは回想ばっかりです。というか、回想のみです。
けれども一番感動したのはこのルートです。
だいたいね、狙いすぎですよ。なんですか、なんなんですか、あの温かいおじいさん・おばあちゃんたちは! 将棋じーさんのエピソードなんて、不覚にも泣きそうになりましたよ。
卑怯です! ちくしょう、あざといです!
ドラえもんでいうと、のび太のおばあちゃんが出てくる回並にあざといです。
僕はこういうのに弱いんです。
「卑怯だ! せこいよ!」と暴言を吐きながら、うるうるしてしまいました。
きっと僕はツンデレなんです。いや、使い方が違いますね。

ですが、やっぱり終わり方がダメです。
もうね、いきなり終わるんですよ。回想が終わったと思ったら、本編まで終わっていました。
思わず「終わっちゃったよ!」と叫んでしまいました。
ぶっちゃけ、何も解決していません。ただ過去が明らかになっただけです。
せめてその明らかとなった過去を、現在でまとめて欲しかったです。


鹿島いずみ cv紫苑みやび
ナースです。お姉さんキャラです。
おちゃらけていますが、考えの深い一面もあります。
優とセットでシナリオが展開します。優・いずみシナリオってされてますしね。
まあ、優で性描写するわけにもいかないから、いずみにやらせとけって感じでしょうか。
まったく不愉快な性的シーンでしたけどね。


九重二十重 cv一色ヒカル
どんだけ重ねるんだよ!
さて、一見クールというかぶっきらぼうな印象を受けてしまう彼女ですが、
実際は可愛らしい普通の女の子です。
複雑な事情を抱えています。が、あまりそのことが語られてはいません。
それでいいと思います。語る必要なんてありませんし。
それで彼女のシナリオは、なんというか、薄っぺらいです。
彼方が彼女に転ぶ必要性が全くありませんでしたからね。
プレイして特別何も感じませんでした。何もありませんでしたし。



○実用性

そんなの求めてはいけません。
悲しくなるだけです。



○思い通りに生きて行くのは、難しいな

僕たちはいつか死にます。
特殊な状況に置かれなくたって、僕たちは必ず死にます。
永遠なんて生きている間にはありません。
その終わるとわかっている人生を、僕たちはちゃんと生きているでしょうか。
あるいは、思い通りに生きているでしょうか。

生きていませんよね。
願えば叶う、努力をすれば何でも報われる、それほど単純なことではありません。
僕たちは僕たちの人生ですら持て余し、時には途方に暮れます。
在りたいように在る。単純なことなのに、とてつもなく難しいことです。

本作のテーマが、まさにそれです。

「思い通りに生きて行くのは、難しいな」
ええ、本当に。
どの生き方が、どのやり方が正しいのか。そんなことはわかりません。
けれども僕たちは生きていきます。終わりを迎える日まで、ずっと。
だったら精一杯生きてやる!
という青臭くとも、清涼感のある主張が本作からありありと感じられます。

また、「死」や「人生」は個別的なものですが、「生き方」はそうじゃない。
他人に支えてもらってもいい、他人と生きてもいい、
そんな直球を投げてくる本作の姿勢には、恥ずかしい気持ちにもなりますが、
どこか心地いい気持ちにもさせてくれます。



○まとめ

全体としてボリューム不足です。
いくら低価格設定だからって、これはちょっとないんじゃない? と思います。

シナリオは、評価できるところがあるものの、安易に色んな設定を詰め込みすぎです。
というか、設定が使い捨てな感じです。もうちょっといかしましょうよ。
それと、「後は想像にお任せします」的姿勢の本作ですが、これがどうもいけません。
プレイヤーの想像に任せたいなら、そんな唐突に終わらせないで、もっと余韻をください。
優・いずみシナリオなんて、終わり方のせいでずいぶんと損をしている気がします。
その意味でいえば、クリス・ノーマルエンドの終わり方はよかったですけどね。

そうですねえ、物語の運び方が強引だった、ということでしょうか。
突然屋上でバトルが始まったときは、「ええ〜〜〜」と思いましたし。
それと演出ができていないことですね。
どうもストーリーが垂れ流しです。メリハリがありません。
前半なんか特に。もう辛かったです。


とまあ、手放しで褒められる作品ではありませんが、
テーマ性という観点で考えれば一貫してしますし、実にわかりやすいです。
狙ってる感がありますが、感動だってできると思います。
重く、暗くなりがちなテーマを、前向きに、清々しく描いたことは評価できると思います。
もっとボリュームがあればよかったのに……

最後に、オールクリアしたら、ぜひパッケージを手にとってください。
夕日をバックに歩いている彼ら五人。
ちょっと切なくなりません?
こんなふうに彼らが五人で歩くことはありませんでしたが、
この絵が本作の全てを表しているような、そんな気がします。
本当に素晴らしい絵だと思います。
なので初回版しか持っていない方は、今すぐパッケージ新装版を買ってください。
……今となっては、みなさん新装版だとは思いますけどね。




評価 79点



以下ネタバレ感想

クリスの吸血鬼設定、気持ちはわかりますけど、嫌いな設定です。
・健康な体をもっていて彼方の孤独を理解できる、あるいはよく知っている。
・思い通りに生きることの困難さを知っている。
・彼方が持つ「死」という記号の対極の記号を持っている。
・そして、彼方を唯一「死」から救える。
これらの要素を満たすには、確かに吸血鬼ぐらいの人外キャラでなければいけません。
そこは十分わかります。ですが、安易だとは思いませんか?
こんなとんでも設定のキャラを出してしまうと、彼方の癌の深刻さが薄れてしまうと思います。
僕はそうでした。なんだかなー、でした。
クリスが提示をするエンゲージを断り、意地とも言えるスタンスで「死」を受け入れる彼方の生き様は確かにカッコイイです。ぐっとくるものがあります。
ですが僕としては、やはり「死」はどうしようのないもので、そこをどうにかできる選択肢そのものがないってのをプレイしたかったです。クリスは絶対に彼方を助けられない、ってのをプレイしてみたかったです。そうすれば、クリスの内面がよくわかり、キャラの深みが増すと思うんですよ。クリスはどうも吸血鬼という設定のみ全面に出されているきらいがありますからね。
絶対に避けられない「死」を前にした彼方と、彼の孤独を知る唯一のキャラ・クリス。ありきたりですが、これぐらいの程度の方がまとまりもありますし、それに佐倉との対比が明確にできてよかったのではないかと思いますね。


こなたよりかなたまで パッケージ新装版
こなたよりかなたまで パッケージ新装版

設定テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文