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これはいい声ゲーですね。 メーカーはぱれっと ○あらすじ 過去に色々あった主人公が、ひっそり一人で暮らすために引っ越してきた先に なんかメイドがうじゃうじゃやってきて、うわーメイドメイド祭りだ! そこから始まるエロコメ・ストーリー。 って、あらすじそれだけ? ええ、それだけです。 なんていうか、もうね、どうでもいいんですよ。ストーリーなんてあってないようなものなんです。 とにかくドタバタにエロで萌えでギャグなんです。それだけです。 ○頑張る声優 本作の魅力、それは声です。 風音さん、青山ゆかりさん、みるさん、金田まひるさん……有名な声優さんが出ています。 はっきり言ってね、くだらないんですよ、テキスト。 ですが声優さんたちの頑張りで、つまらないテキストが笑える笑える。 何の脈絡もなく突然泣き出すキャラがいるのですが、 その咽び泣きの声がひじょーに面白かった。個人的には鉄板でした。 もちろんそれだけではありません。 ジョジョばりに同じセリフを連呼しながらビンタするところとか、 甘い感じ→怒り へのスイッチの切り替わり方とか、 テキストではなく声優にこんなにも笑わされたのは初めてです。 伸び伸びと演じられているというか、いい意味で好きなようにやられているのがよかったです。 即興とは違います。 つまり、思いっ切り演じてるんです。 このことがプレイヤーに楽しさを伝えてくれます。 あれですよ、つまらないことでも声を張れば面白く聞こえるってヤツ。 悪く言えば、山崎邦正シンドロームです。 あ、山崎の邦正さんを取り上げると甚大な語弊が生まれてしまうので、 よりわかり易く、なおかつ正確に言いますと、 くだらないテキストでも、声優の溌剌とした演技で我々に楽しさを与えてくれるということです。 これってヴィジュアル・ノベルでは重要なファクターでしょ? それぞれ独立したテキスト・ストーリー・音楽・声などの要素を総合し、 一つの作品としてまとめ上げることがヴィジュアル・ノベルなのですから、 声の重要性は、ぶっちゃけストーリーと同等と言えるのではないでしょうか。 このことを端的に表すのは、本作の見どころと言っても過言ではない背景の声です。 えっとですね、テキスト外でも音声が再生されているんですよ。 主人公とAというキャラが話していたとして、テキストでは主人公とAとの会話しか表示されないんですが、音声では他のキャラたちの、例えばBとCとの会話も聞こえてくるんです。 つまりクロス・トークです。 これがみんなで騒いでいるのを上手く表現しています。 ワイワイ、ガヤガヤ満開です。 したがって、雰囲気がスムーズにかつある種丁寧につくられているのです。 わざわざみんなで盛り上がるシーンを用意するまでもなく、 日常会話からそれを見せてくれるのですから、 表現方法としての声における重要性を注目する必要があると思います。 「Forest」なんかいい例でしょうね。 何が言いたいのかというと、 ストーリーという皇帝によって絵やらテキストやら声やらが支配され、そして動かされているのではなく、ストーリーも絵もテキストも声も全て同列で、それぞれの方法を持った手段だということです。 当たり前といえば当たり前なんですが、どうもストーリー至上主義の風潮が強いので一言いっておきたかったです。まあ、ストーリー至上主義が悪だとは言いませんがね。 とまあ少々めんどくさいことを言ってきましたが、本作からそんなことを考えるなんて行為は間抜けです。僕は間抜けです。 とにかく楽しめ! それで十分の作品だからです。 ○問題は往々にして主人公にある あの作品の主人公はヘタレだから嫌い、だとか あの作品の主人公はクソ野郎だから死ね、だとか あの作品の主人公は頭がおかしいからオレ、この戦争が終わったら故郷の彼女と結婚するんだ、だとか 主人公に合う合わないで、その作品全体が評価されることがしばしばあります。 そりゃそうです。 僕たちはどう頑張っても二次元の世界へは行けません。 や、行ったことあるよという方はぜひご一報を。僕も行ってみたいです。 や、なんとなく行けそうな気がするんですけどね。仏教の力で。こう…目を閉じて…涅槃を意識して…精神が肉体を超えていくのを想像して…形而上学的にディスプレイの二次元世界と重なっていくのを感じながらおもむろに「兄さん、そこはお尻だよ!」とシャウティングすれば、あるいは… ま、そんなことはどうでもいいです。話を戻します。 作品世界を自由に行き来できない僕たちは、主人公という借宿でその世界を楽しみます。 感情移入という言葉が出てくるのも、このことがあるからだと思います。 なので、プレイヤーが主人公と上手くリンクできなければ、作品世界を存分に楽しむことはやはり困難だと言えるのではないでしょうか。 前置きが長くなりましたね。つまり、本作の主人公にはクセがあるんですよ。 ヘタレだとか電波だとか、そんな類のクセではありません。 有り体に言うと、しーしー好きなんです。 しーしー。ある種の猛者たちが聖水だと言うものです。黄金水です。 最初はね、あははっ、バカなヤツだなあ〜と笑っていたんですが、 いつまでたってもしーしー、しーしー。 口を開けば、しーしー、しーしー。 どこまでいっても、しーしー、しーしー。 しーしー、しーしー。しーしーしーしーしーしーしーしーしs−s−し−いs−いs−いs ええい、そんなにしーしーが好きかッ!! いい加減にしてくれ、と頭を抱えました。 もはや主人公は強迫観念に囚われています。 延々と繰り返されるしーしーネタには、さすがに辟易してしまいました。 そのくせエロス・シーンはいったってノーマルなのですから、なんともまあ。 これではやっぱり、人を選びますよね……。 それに主人公は、どうやら過去で人に「不幸を告げる」仕事をしていたようなのですが、 それが何なのか、よくわからないまま終わってしまいました。 むしろ、いやー、実際どうでもいいっしょ? それよりエロスっしょ?? というスタンスです。 気持ちは十分にわかりますが、そんな変に潔くならないでください。 意味深に匂わせといてそりゃないでしょ。まあ、エロスは堪能しましたが。 なんとなくその「不幸を告げる」仕事によって、主人公の人格が形成されているのがわかる分、過去が明らかにならないのはどうなのかなあと疑問に思いました。 しーしー騒ぐのだって冷静な素を隠すための演技なのではと窺えるシーンが多々あるのですが、隠す必要性がないと言えますし、そもそも変わっていこうと考える人間が素性を隠していたのでは、その変わりようがよくわからないではないですか。 意図的にシリアスを避けようとして、このようなザマになったのはわかります。 だったら最初からシリアスなんか匂わさないでくださいよ。 なーんか「ちょっと切ない」を意識しすぎです。終始バカで結構。 このように様々な問題を抱えている主人公です。 ヘタレではないのが救いです。 ですが、ウザイです。ああ、ほんとにウザイって言葉が似合う男です。 ○なんだかんだで楽しめた、かな? かな? 声優さんたちの頑張りで、キャラが魅力的でしたよ。 僕の一押しは焔冬音です。もちろんサブキャラです。 メインキャラ焔雪音のお姉さんです。 この冬音さん、もう愉快なんです。 雪音の個別ルートに入ると突如として現れるんですが、いやもうグイグイとストーリーを引っ張ってくれます。 完璧なメイドと描写されながらも、雪音以上に容赦なくヴァイオレンスで、人の話を全く聞かないわ、虫も平気で食べるわ、鬼軍曹だわのキャンディ・ガールです。 でも実は、妹思いの優しいお姉ちゃんなんです。 どれぐらい妹思いかと言うと、妹のロスト・ヴァージンを聞き出そうと躍起になるぐらいのシスコンなんです。いやあ姉妹愛ですね。姉妹ってホントにいいものですねえ。 言うまでもなく攻略不可です。それは結構。冬音さんを攻略するのは、何だか間違っている気がしますからね。なんだかんだで、一番気にかけているのは妹の雪音のことなんですから。 なので攻略できないことに憤慨したりはしません。 ですが! なぜですか。なぜ姉妹丼がないんですくわッー!! 姉妹丼がなく、さらっと雪音との性的シーンだけで終わった瞬間、 「いやだぁー! 姉妹丼がいいよぅぉーー!! 姉妹丼ィィー!!!」 と、懺悔で打ちあけられたら司祭もリアクションに困るだろう泣き言を喚き散らしました。 もうあれですよ、おもちゃ屋さんの前で地面に寝っ転がり「あれ買ってー! あれ買ってよー!!」と喚く子供と同じノリです。 僕はまだまだ少年の心を持っていたワケです。 それと、憤慨で思い出したんですが、あの真紀エンドはなんなんですか!! なんですかあの取って付けたようなエンドは!! 確かに隠しヒロインというか、そんなに全面に出すべきキャラではありませんけど、 もう少し盛り上げてくれてもいいじゃないですか! っていうか、エロスをもっとおくれよ!! なんで真紀との性描写がないんです? これは何の冗談ですか?? 思わず側にあった電話帳を腕力で真っ二つにしてしまいましたよ。 ええ、もちろん嘘ですよ! つまり、それぐらい僕は憤慨したのです。 必死に真紀ルートに行けるように血眼でプレイした僕がバカみたいです。 ええ、もちろんバカですよ! ……そろそろまとめに入りましょうか。 絵はとても綺麗でした。個人的にはかなりヒットです。 演出ができていましたね。先に言った声もそうですし、エフェクトなんかもしっかりしていましたね。コミカルによく演出できていたと思います。本作の肝ですね。 シナリオは、たるいです。冗長なのに歯抜けのような印象を受けてしまう感じで、特別面白いとは思いませんでした。 キャラは魅力的なんですが、感情の変化が正直意味不明で、なぜに主人公へ好意を抱くようになったのかがさっぱりです。それにちょっと記号的すぎますね。ツンデレならツンデレ! 天然なら天然! と、その記号を全面に押しすぎて、彼女たちの本当の中身が見えにくかったです。 あと、次々とキャラたちが主人公に好意を抱くようになるんですが、好意を抱くようになったキャラはことごとく行動が画一的になり、まるっきり同じパターンを何度も見せられているような感覚に陥ります。これもキャラが記号的で、内面がしっかりと描かれていないからでしょう。 声は文句なしです。よくできましたと言いたいです。 実用性は、高いと思います。一枚絵とその絵の中における変化は少ないですが、ハーレム・ルートなんて結構なものです。割と満足しました。 総じて、声ゲーです。 いい声ゲーはないかにゃ〜、と探し求める旅のお方ならばプレイしてみてはどうでしょう? シナリオ重視の方はご遠慮を。 エロ重視の方は、うーん、絵が気に入ったなら買ってみてはどうでしょう? まあ、購入を検討中の方は、エロコメの声ゲーだと思ってくれて結構です。 評価 65点 この作品から受けた教訓 → 声を侮るな えむぴぃ
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