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帰ってきたニトロ メーカーはNitroplus ○あらすじ オートマタ(自動機械人形)産業で名をはせる街・ベルモント。 組織から抜け、この街にたどり着いたロメオは、一体の記憶を失ったオートマタを拾う。 なぜ彼女を拾おうと思ったのか、それはわからなかったが、ロメオは彼女にアンナという名前を与え、いつまで続くかわからない平穏な共同生活を送るようになる。 ロメオはタクシードライバーとして、アンナは見習い機械工として。 そんなとき、ベルモントの街で連続殺人事件が起きる。 犯人は「狼男」ではないのか、などという噂が飛び交う中、ロメオのタクシーにある客が乗車する…… ○予想外に面白かった。 謝罪します。ごめんなさい。 どうせ期待はずれだと、落ち目だと思っていました。 ごめんなさい、面白かったです! なんといっても世界観が完成されているのがいいですね。 いつまでもその空気の中にいたいような、そんな感覚に襲われました。 あとは声ですね。 著名な声優の方が多く出演されているせいか、感情の機微がわかりやすく伝わりました。 いかんせんテキストでの心理描写が欠けているため、声優の演技に救われている面があると言えますね。 でもまあ、主人公であるロメオの感情の変化には、やはり唐突感があったと言わざるを得ませんが。 そうですねえ、全体的に冗長とも言えるほど丁寧に日常が進んでいくのに、 結構肝心な部分の描写が足りていなかったのかもしれません。 どんだけメシ食うねん!と思うほど食事シーンが多かった割に、ロメオが昔いた組織に帰る決意をした描写がなかったなど、なんとも肩透かしな感じで展開されたのは事実だと言えます。 あるいは、キャラが状況に左右されすぎなのかもしれません。 状況がキャラをつくっていると言えばいいのでしょうか、キャラの根本にある何かが原動力となってストーリーをつくっていくのではなく、ストーリーに流されることによってキャラが見えてくる、そんな感じです。 レベッカはそれに当てはまりはしませんが、あまりにも彼女の根本にある記号に依存しすぎです。 これでは単なるヒステリー女です。深みがありません。 根本と状況の折り合いをつけていれば、彼女への印象もまた違ったものとなったでしょう。 ……何を言っているのかわかりづらいですよね。 そうですねえ、例えばアンナさん! 彼女はあらゆるものを受け入れます。まるで聖母様のようです。 そこは別に悪くありません。彼女の性格つまり記号がよく表現されています。 ですが、彼女はあまりにもそれに終始しすぎています。 つまりは現状維持なんです。 本作は先にも言ったとおり、キャラを原動力として物語をつくっていくものではなく、ストーリーによって統制された作品です。 演劇に置き換えればわかり易いと思います。 俳優至上主義というより戯曲至上主義。グロトフスキーというより新劇。そんな感じです。 なので、全体としての空気や雰囲気は巧みに完成されますが、キャラが弱くなってしまうのです。 だからと言って悪いとか間違っているとか言うつもりはありません。仕方のないことですから。 問題としたいのは、キャラクターのストーリーです。 アンナさんがあまりにも現状維持すぎると言ったのは、そういうことです。 つまり、そのキャラクターにおける起承転結がないのです。 「受け入れる」ならずっと「受け入れる」。「嫉妬」ならずっと「嫉妬」のように、悪い意味で初志貫徹なんですよ。 キャラに深みがなかったり、内面が見えてこないのは当たり前です。 確かにキャラは葛藤し、内的相克によって問題を打開します。 ですがそれは、葛藤の克服で終わっているのです。 葛藤を克服し、状況は変化します。 しかし、そのキャラ自身における成長はほとんど皆無だと言えます。 一皮むけたシルヴィオに違和感を覚えるのは、以前のシルヴィオと繋がらないから、つまり彼の流れがないからです。 もっと詳しく言うなら、現前にいるのは変化した状況につくられたシルヴィオであって、自ら成長したシルヴィオではないのです。 これがキャラの起承転結です。 全てが点であり、線で繋がっていないのです。 早い話が、葛藤の克服によって変化するのがキャラではなくその状況だということです。 そして、その状況がキャラをつくるため、言ってしまえば別人物のような印象さえ受けてしまうのです。 少々ややこしい話になってきたので、この辺りでやめておきましょう。 なんしか、キャラが何を考えて行動しているのかわかりづらかったということです。 ○バトル ニトロと言えば、熱いバトルですよね! もちろん本作にもたくさんバトルがあります。ですが、爽快感のあるバトルではありません。むしろ泥臭い、肉を切らせて骨を断つ戦いです。 なので毎回ロメオは重傷を負います(笑) 確かに、少々退屈な面があります。 戦い自体は、意外性もなく、惰性のようにテキストが続きます。 ですがね、渋いんですよ。カッコイイんですよ。 組織を抜けたロメオと、彼に憧憬と憎しみとを抱き組織の次期頭領を狙うシルヴィオ。 過去のわだかまりが両者を遠ざけ、それでもお互いを認め合う。 そんな二人の死闘! いいじゃないですか。名シーンですよ。 そんな二人の戦いに、必殺技連発なんて展開はいらないんです。 まあ変身というか、アレをしちゃう展開もありますが、それでも結局どつきあい(笑)!! それでいいんですよ、泥臭くて結構。男臭くて結構。カッコイイんだから。 あとはそうですねえ、アンナさんとのバトルも燃えましたね。 主人公とヒロインが、望んだ結果ではないとは言え、戦い合うなんて……やってくれますよ! 大好きですねー、こういうの。 二人の立ってる場所から考えて、この展開もあるだろうと思っていましたが、実際にやられると胸にくるものがあります。 欲を言えば、もっとガッツリ殺し合って欲しかったかな。 あとはそうですねえ、ピウス影薄ッ! ラスボスなのにいまいちです。というか、ピウス自体がいまいちです。というか、意味不明です。 彼がしたかったことは何となくわかるんですが、なんでそうしようと思い立ったのかよくわかりません。 まあ、どうでもいいです。 どうあがいたってシルヴィオにキャラ食われているんですから。 ○キャラクター キャラに起承転結がなくて残念だと言いましたが、それは決してキャラに魅力がないということではありません。 むしろ魅力ありありです。 どちらかと言うと、脇役が光っていましたね。 組織の頭領・ヴァレンティーノ。ほんと、ザ・ゴッド・ファーザーで、カッコイイっす。 相談役のグリエルモ。冷酷で組織を最優先にしますが、時折見せる優しさに惚れそうです。 機械工のジェルマーノ。職人気質のいい味出したじいさんです。生粋のツンデレです。 他にも魅力的なキャラがたくさん出ているのですが、やっぱりNO.1はカルメロです。 シルヴィオを兄貴と慕い、組織で少々浮いている麻薬中毒者です。 彼の魅力を語るならば、ちょうどいいシーンがあります。 それは、とある敵にシルヴィオが捕まったときです。 カルメロはロメオに助けを求めに行きます。 ですがロメオは断ります。そりゃそうです、相手は強大な敵です。人数が少なすぎます。 たった二人で何ができる? 返り討ちにあうのは明白です。自分がカルメロについて行ったところで、一体どうなるというのだ。無謀にもほどがある。 ですがカルメロははっきりとロメオに告げます。 「戦力は二倍ですッ!」 最高ですよ。名台詞だと思います。 もう僕はカルメロに夢中です。カルメロかわいいよカルメロ。 ○エンド 本作にはダメなところが多々あります、ですが、それらを打ち消すぐらい素晴らしいものがあります。 それは終わり方です。 それぞれのヒロインに二つエンドが用意されています。 手放しでハッピーなもの、思わずニヤニヤしちゃうものから、もの悲しいもの、哀愁溢れるもの……幅広くそろっています。 僕はどのエンドも好きです。 今までの冗長さが嘘のように、突き抜けた展開をみせてくれます。 エロゲーは、どうもエピローグがグダグダであることが多いのですが、本作はそんなことありません。むしろ、エピローグが素晴らしいです。 こんなにも後味のいいエンドを見せてくれるのなら、多少冗長であっても問題ない。 本気でそう思いましたね。 ネタバレ防止のため、詳しく語れないのが残念でなりません! それほどダメなポイントを打ち消してくれるものでした。 これは、エンドで流れる曲も一役かっているのかもしれません。 「Memento Vivere」いい曲ですよ。や、「幻灯」もいい曲ですけどね。 さすがニトロといったところでしょうか。 評価 75点 月光のカルネヴァーレ
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