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help リーダーに追加 RSS それは舞い散る桜のように レビュー

<<   作成日時 : 2007/01/20 00:05   >>

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適当に生きるな


メーカーは今は亡きBasiLです。
活動を休止されてしまったのが残念でなりません。


○笑い

それ散るを語るに当たって、まず多くの人に語られるのが「笑い」でしょう。
とにかくおかしいんですよ、主人公・舞人の言動とか他キャラとの掛け合いとかがね。
かなり笑っちゃいましたね。
というか、この作品以上に笑かしてくれるものは、そうそうないと思います。
ヒロインに向かって「メス豚」なんて言う主人公は初めてですよ(笑)
鬼畜系以外ではね。

いや、これだけだとサディスティックな主人公なのかと思われそうですが、そうじゃないんです。
要は子ども……あれですよ、好きな子にちょっかいかける悪ガキって感じですね。
心底からの悪意は感じられません。
今風にいうとツンデレです。微笑ましいです。

そうですねえ、プレイ中何度も
こんな風にみんなとバカやれたら楽しいだろうな、と思ってしまいました。
寒いですね。
今すぐ水風呂につかって「よろしく勇気、よろしく勇気」と唱えながらアヴァロンに到達したいです。


○欠落

「語らない」という技法があります。
あまり多くを説明せず、記号を散りばめる手法のことです。
「無口なシナリオ」とでも言いましょうか、なんというか、「これ以上語るのは野暮だぜ」というスタンスを貫くことだとでも思ってください。

それはそれでありだと思います。
絶対に1から10まで説明しなくてはならない、なんてことはないからです。

この作品も1から10まで説明されていません。
なるほど、だったらテーマの欠片が作中に散りばめられているんだね?
違います。
えっ、じゃあ、匂わせる感じなの??
違います。


ないんです


推測しようにも、感じ取ろうとしようにも、重要な部分が欠落しているんです。
じゃ、意味がわからないじゃん。
その通りです。

結局、何が何だがわかりません

こんなところでも笑わせてくれます。

どれぐらい何が何だかわからないかと言うと、
舞台は整った。よし、ここからだ!
ここから謎を解き明かしていくぞ、体は大人・頭は子ども、それが名探偵だいだいなのだ!
と思ったら、なんか神様がやってきて
「あ、ごめん、こっちで解決しちゃったよー」とか言われて気づけば大円卓!!
なんていうギリシャ悲劇も真っ青な超展開です。

いや、神様は出てきませんけどね。なんかよくわからん連中は出てきますが。
いや、なんとなくわかるっていえば、そりゃ、まあ、なんとなくわかるんですどけね。
いや、嘘じゃないですよ。彼らの台詞を注意してあの丘のこと考えれば、なんとなく……
いや、確証はないですよ、もちろん。
いや、まあ、その、もういいや。

というように、謎を考えればただただ深みにはまっていきます。
まーそうですねえ、前半の後にエピローグがくっついてる作品だと思ってください。
というのもこの「それは舞い散る桜のように」、実は続編の構想があったようです。

その名もけれど輝く夜空のような

「それ散る」だけでは物語が完結せず、「けれ夜」までやって全てが明らかになるという仕組みだったのです。
なので「けれ夜」がお蔵入り(僕は認めたくないです)した今となっては、謎が明らかになることなどあり得ないのです!!
つまりこれは、宇宙人の侵略なんだっ!!!


な、なんだってぇぇーー!!!!


あと、どうでもいいことなんですけど
「けれど輝く夜空のよう」です。
「けれど輝く夜空のよう」ではありません。
僕は細かくて根暗で引きこもりな性格をしているので、この「な」と「に」を間違われて連呼されている光景を思い浮かべるだけで「トゥインクルゥゥーー!!!」となるので気が向いたら注意してみてください。


○それは魅力溢れるキャラのように

もうね、なんと言ってもキャラの魅力がえっげつないんですよ。
どのキャラも魅力があって、どの子から攻略しようか悩んじゃいましたね。
とりあえず、当時の僕は希望から攻略したのですが、まあ、正解だったのではと思っています。

ではキャラ紹介といきましょうか。

星崎 希望
学園のアイドルで、凜としているのかと思えば案外そうではなく、わりと庶民派(笑)??
学園のアイドル的存在=藤崎詩織=超人というテンプレートに当てはまらないところが好印象です。
ぬけてるところもありながら、主人公と漫才をしっかりやってくれます。
嫉妬深いのが玉に瑕なんてことはありません、大好きです、これから一緒に市役所に行きましょうっていうか行ってください。

攻略順としては、一番最初に攻略するのが望ましいと思います。
理由はとっつき易いあるいは丁寧だからです。


八重樫つばさ
どちらかというと彼女が藤崎詩織でしょうね。
藤崎詩織がもうちょいシニカルになった感じ、でしょうか?
いや、藤崎詩織も見方によっては結構シニカルだと言えるんですけどね。

舞人とある共通点を持ち、それが核となり物語が展開します。
その核はこの作品全体でも言われていることであり、もっと主題と絡んで展開していくのかと思っていたのですが、やはり急転直下、そう上手くはいきませんでした。
ちょっと残念な感じのするシナリオでした。


雪村 小町
幼馴染みです。遠くは北国から、主人公を追っかけてやってきた、たまに出る方言がそれはもう何とも言えない芳醇な味わいを醸し出すノーフューチャー・ベイベーです。

幼馴染み=口うるさい・世話焼き=朝起こしに来る

というテンプレートをまたもや破ります。
朝は起こしに来ず、外で待っています。健気ですっ!!!
いやね、彼女が外で待っているのには理由があるのですよ。
なんていうかね、もうね、健気なんです!!
主人公と息のあった掛け合いを繰り返すのですが、ここにもね、理由がありまして……


もう、健気っ!!!


個人的には彼女のシナリオが一番好きですね。
過去のお話は、なかなかどうしてグッときます。
みっ・みっ・みらくる♪ みっくるんるん♪


里見 こだま
先輩に見えない先輩、なのに本人は自覚なし。文芸部に所属し、児童文学を書いています。
可愛らしいなりをしているのに、大人ぶっているところは愛らしいです。
ですが一言、一言だけ言わしてください。

なぜ髪を切ったのですか!!

少数派かもしれませんが、僕は断然髪切る前派です。
ここだけは譲れません。
長くも短くもない、あのなんとも言えない絶妙な野暮ったさが最高だったのに……
抗議したいです。安田講堂です。
放水車に激しく水を浴びせられながら「それでも髪を切るべきではなかった!」と叫びたいです。
もちろん投げるのは火炎瓶ではなく西又葵の絵です。
機動隊員たちは口々にこう言います。
「どのキャラも同じ顔してるじゃねえかっ!」
すると僕は、待ってましたとばかりにこう叫んでやるのです。


「バカヤロ、だから髪が重要なんじゃねえか!!」


さて、彼女のシナリオなんですが……
意外に重要なシナリオだと言えるのではないでしょうか。
どうもね、様々な伏線を包括しているんですよ。あとこの作品自体の言い訳も。
ぶっちゃけて言うと、「けれ夜」への伏線みたいなものをね、感じちゃうんです。
どうなんでしょうか?


森 青葉
隣に住む、主人公を「お兄ちゃん」と呼んでくれる年下・妹属性満開キャラです。
家庭的で料理が上手です。

ま、そんなことは置いといて、

青葉の親友に芹沢 かぐらというキャラがいます。
昔の主人公と面識のある数少ない人物の一人で、主人公に好意を持っているのですが、一押しができなくて今のポジションに甘んじています。
たまに主人公をストーキングするファンタジー・ガールですが、いいキャラなんですよ。
面白い子ですし、愉快ですし、笑えますし…なんか微妙にバカにしている感じですが、とにかく青葉より素晴らしいキャラクターです。
青葉シナリオだと、かぐらの登場回数が多くなるので大変よかったです。
というか、かぐらのために青葉を攻略したようなものです。
いや、青葉もいいキャラなんですけど、かぐらの前では霞んで見えます!
あの変な髪型、一途さ、優しさ、愉快さ、どれをとっても最高なんです。
僕が一番好感を持ったのがかぐらです。
やれ希望や小町やと言ってきましたが、「それ散る」のベスト・キャラは、僕の中ではダントツで芹沢かぐらなんです。
かぐら最高なんです!



○けれど輝く攻略不可のような


ですがかぐら攻略不可ッ!!

僕が一番好きになるキャラは、いつだって攻略不可です!
まるで人生のようです。
必死に「もしかしたら、おまけシナリオで攻略できるんじゃね?」と、ありもしないおまけシナリオを探していた頃が懐かしいです。

だってねえ、こんなにも魅力的なのにサブキャラだなんてもったいないですよ。
というか、サブキャラたちの個性が立ちすぎですよ。
嬉しすぎますよ。サブキャラ好きの僕としてはね!

もういいです。
結局僕は「攻略できない」というところにしか魅力を感じられない不能者なんです。
これから一人かぐら祭りを開催します。
かぐらちゃんのように、服を脱いで騒ぎます。
かぐらちゃんのように、メモを片手に舞人をストーキングします。
かぐらちゃんのように、夕陽をバックにけじめをつけます。


……。

お願いですから続編を、ファンディスクをつくってください。
そして、そこでは、かぐらちゃんを攻略させてください。
かぐら商法でいいですから、もう慣れてますから、お願いします。



○評価

核心部分が謎のまま横たわっているので、どうしてもキャラの底を知れなかったなという印象がありますね。特に舞人なんか。
作品の全体像も、ちゃんと完成していたのなら立派なものだったのではと思います。
名作になれなかった佳作とは、まさにこの作品のことなのでしょうね。

とは言っても、日常パートのテキストは面白く、
共通部分が多いのにも関わらず、飽きずに楽しめたというのは素晴らしいと思います。
と、褒めれば褒める分だけ切なくなるのはなぜでしょうね。

なんだったら、あのエピローグをなしにして欲しかったです。
そうすれば綺麗だったとは思います。
ま、余計に「なんだこれ!」感が強くなりますけどね。





評価 73点




先人は言いました。

考えるな、感じろ

まさにその言葉通りの作品だと思います。

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