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help リーダーに追加 RSS 沙耶の唄 レビュー

<<   作成日時 : 2006/12/30 23:00   >>

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悲しいね(´・ω・`)


画像

メーカーはニトロプラスです。



沙耶の唄はホラーか

サスペンスホラーADVと銘打たれた本作ですが、これにはちょっと疑問です。
まずADVとは呼べないでしょう(;´Д`)
何せ選択肢は二つしかありません。
そもそもね、本作はとにかく短いんですよ。3〜4時間でフルコンプできます。
その分低価格なのですが、やはり物足りなさは感じてしまいます。

まあ、短いからこそサクサクと物語は展開していくんですけど、
息継ぎのシーンというか、主人公と沙耶のシーンをもうちょい増やしてくれていたら、
より一層のカタルシスをラストで得られたのではないでしょうか。


さて、ここであらすじを手短に紹介しますと、
主人公は悲しい事故にあって、世界がグロテスクなモノに見えてしまうんです。
人間が不気味な化け物のように見え、家が臓物のようなモノに見えてしまうんです。
結構悲惨ですよね。
そんなグロテスクな世界で唯一、沙耶という少女だけが人間として認識できるんです。
一体沙耶とは何者なのか、主人公と沙耶はどうなってしまうのか、などをめぐって物語は進行していきます。

ホラー的要素は、グロ画です。バンバン出てきます。
カニバリズム(人肉嗜食)も絡んできます。冷蔵庫に人肉をタッパーに入れて冷やしたりします。佐川君です。
とは言っても、そんなにドギツイものではありません。世界観をつくる要素としての働きが強く、驚かしてやろう、怖がらせてやろう、という意図は感じられませんでした。好感触です。
グロは嫌だ、エグイのは嫌だ、という方でも安心してプレイできるように、グロ画をぼかす機能がついていますが、あんまりオススメできません。
なぜならグロがあればあるほど、この作品が美しくなるからです。
この点に関しては後で述べます。

サスペンス的要素は、まあ、沙耶の謎を追うところで発揮されますが、そんなにサスペンスしていません。うすいです。
というか、沙耶が何者であるのかは、早い段階で気づくと思います。
別に気づいたっていいんです、本作は謎を追い求めるものでも、キャーキャー騒ぎながら恐怖するものでもないのです。

そう、沙耶の唄はラブ・ストーリーなのです。

サスペンスホラーなんて見せかけだけです、実は、主人公と沙耶との切ない恋物語なのです。
僕はね、年甲斐もなく胸がキュンキュンしました。
私の彼は♪ パイロット〜♪ ばりにキュンキュンです。
……マクロスネタは辛いですか。リン・ミンメイなんて知らない世代ですか。そうですか。

とにかく切なくて、悲しくて、涙が出そうでした。
主人公と沙耶が何気なく会話している描写だけで、それだけで僕は泣きそうでした。
だって、二人がひたすら終わりに向かっているんですよ。もの悲しいです。
どうして世界はこんなにも彼らに冷たいのだろうと思いました。

そりゃ確かに、人狩りとかしています。社会的制裁は受けなくてはならないでしょう。
二人にハッピーエンドはあり得ないでしょう。
それがわかっているからこそ、悲しくもあり、愛しくもあります。
エンドは全てで三種類ありますが、楽観的な「救い」というのはほぼありません。
ですがそれで正解だと思います。
悲しみは美しさをつくり出すのです。

そうそう、本編をやり終えた後、一度沙耶の唄公式ページに訪れてみてください。
沙耶が「おかえり」と声をかけてくれます。
もうそれだけで……それだけで僕は……うぐぅ。


○グロテスク

本作は、このグロテスクが一つのテーマとなっていると言っても過言ではありません。
主人公が見るグロテスクな世界と世界から見るグロテスクな沙耶(ネタバレOKなら反転どうぞ)
主人公の世界がグロテスクであればあるほど沙耶は美しくなり、反面客体的世界では沙耶が一層グロテスクであることを意味します
全てが気味悪く、吐き気がするような世界で出会った一人の人間・沙耶。
主人公がどれほど沙耶を頼りにしたのか、計り知れないものがあります。
その逆もしかり。
怯えられ、気味悪がられる世界の中で、唯一「可愛い」と言ってくれた主人公と出会った沙耶
お互いがお互いを強く求めるのは道理です。
言うまでもなく、二人が互いを求められるのは、今の状態あってこそです。
主人公の病気(と言っていいのかわかりませんが)が治ってしまえば、果たしてどうなのるのでしょうか。この点に沙耶は怯えるわけですね。
この危うさに立つ恋物語が、本作の主題であるのは言うまでもありません。
ちゃんと描かれていましたしね。

まあ、中盤(というか終盤?)からは、そんなことはお構いなしになっちゃうんですけど(笑)

全体的に上手いと思います。
どうもこういう作風だから、猟奇的な部分ばかり注目されてしまいますが、実際はかなり純粋な作品です。
グロテスクの向こう側は、ほんとうに呆れるほど、涙がでそうなほど子供っぽいテーマが隠されてます。
こういうの好きです。


○しかし、短い

これは本当に残念です。
作り手からすると、言いたいことは書いたし後は蛇足だな、って思ったのかもしれません。
確かに言いたいことは書かれてあります。割と丁寧に。
しかしそれはシーンごとの丁寧さであって、トータルで見ればぶっきらぼうというか、描写不足です。
まず主人公と沙耶が、悲劇を迎えるのが早すぎです。
二人のもっと幸福なところがないと悲劇性が弱まります。これは前述しましたね。
他には、主人公と沙耶以外のキャラについての描写不足です。
かなり狭い範囲で世界観がつくられているので、一人一人に対する描写はもっと深くまで書く必要があると思います。
つまり、あまりにも登場人物が記号的なんです。

先生なんかその最たる例ではないでしょうか。

彼女は状況に振り回されているだけで、主体的に行動をしていません。
ただ主人公と沙耶を追いつめるだけです。
彼女が何を考え、何を思っているのか、その辺の描写が足りていないため、作中ではかなりエキセントリックな印象を受けてしまいます。
妄執に囚われているというかね、独善的というか。
まあ、沙耶と対話するという選択を彼女にはして欲しかったです。

その方がいいんじゃないでしょうかね?
対話する→理解し合えない という流れの方が、映えた気がします。
あまりにも拒絶を沙耶へ向けすぎです。
主人公の学校の友達はそれでいいんですけど、先生だけは異なった立ち位置にいるのだから、その立ち位置にふさわしい行いをして欲しかったんですよ。

視点が変わりまくる割には、主人公と沙耶の二人だけにしか深みがないのも問題ですね。
これは物語の運び方が悪いことを暗に意味しています。
それぞれのエンドが、肩透かしに終わっていく様を見ればわかると思います。
どこで盛り上げるか、そのためにはどこで緩みをつくっておく必要があるか、あるいはどこから緊張を与えるか、などの物語としての流れが弱いということです。
テキスト自体は丁寧で、読みやすく、さすがだなと思わせてくれるだけに残念です。


とまあ、残念な点は多々あるのですが、
ニトロの作品の中で一番印象に残っているのは本作沙耶の唄です。
それは、こんなにも分かり易く、こんなにも直線的に何かを訴えてくるのが珍しいからかもしれません。
その意味でいえば、短いのは正解なのかもしれません。
うーん、二律背反です。


○まとめ

ぶっちゃけて言うと、かなりオススメです。
僕は本当にこれをプレイできてよかったと思います。
これを読んで興味が沸いた方はぜひプレイしてみてください。

そうそう、声もよかったです。
主人公にも声があり、なんとその声を当てているのが「いやっほー、○崎最高ー!!」のあの方です(笑)
正直なところ、彼の声にはうんざりしたものがあるのですが、今回はとてもマッチしていてよかったです。
もちろん他のキャラの声もよかったです。全体的に巧いという感じです。

それに音楽も良かったです。
とくにEDの曲なんて普通に聞けます。というか、今その曲を聞きながら書いています。
クオリティ高いです。

まあ、その……意外にHシーンもよかったです。
尺は短いですが、なかなかどうして、退廃的で濃厚でした。
ツルペタ属性には堪らないものがあります!

……最後の最後で何を言っているんでしょうね(´・ω・`)



評価 90点


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